甘えの追認識とヒジの痛み

B社に入社後、初めての転勤、それも大阪という全く馴染みのない地で、
周囲の環境が一変し、不慣れな状況の中、 独身寮での生活が始まりました。
B社の大阪支店で、研修期間中(3ヶ月)は総務課の配属となり、
早速、同期の5人とともに、物流センターでの研修がスタートしました。

物流センターまで独身寮から1時間程の通勤でしたが、
現地で苦労したのが、”言葉”つまりコミュニケーションでした。
東京生まれの東京育ちの私にとって”大阪弁”は、
早口で聞き取りにくく、インネーションの違いもあり、
慣れて理解するのに1~2ヶ月程の期間を要しました。

同じ日本人でありながら、一時的に私だけ人種が違うような
疎外感を時々感じました。
東京生まれの東京育ちの私にとっては、
あまりにもセンセーショナルな出来事と感覚でした。

今でも鮮烈に記憶している言葉は、職場の先輩から
「自分な……」と私に対して言われた時、
一瞬、誰の事?と面食らい周囲を見ました。
東京では相手に対して、”一人称の自分を使う”という表現は
使う機会など全くなかったでしたので、とても戸惑いました。

とは言うものの、 物流センターの先輩方は根の優しい人達ばかりでした。
仕事のできの悪い、周囲の環境になかなか馴染めない私を気にかけて
もらっていたのが、 時間を置いて少しずつ気づき始め、
嬉しさとともに、人の奥にある温かさが感じられた貴重な体験でした。

対象的に東京から一緒に来た男性同期の5人との関係は複雑でした。
正直言って私と気心の知れた同期は1人もいませんでした。
私ともう1人の同期は他の4人と”雰囲気”が異なっていたようで、
その4人から”特別視”されていました。

特に私に対して「お前、変わっている。」という発言を事あるごとに
繰り返し言う、N君とK君に対しては、抵抗というか嫌悪感さえ
感じていました。

不思議なもので、30年以上過ぎた出来事にも関わらす、
今となって丁寧に思い返してみると、私にとって当時のメッセージは、
とても重要だった事に気がつきました。

それは、私の性質、思考パターンを端的にズバリ指摘していたからです。

私はその頃、”自分が変わっていたという認識はほとんどなく”、
周りの同期と同じレベル、時には自分が上だという傲慢な思いとともに、
自分自身を知らないという未熟さの自覚さえ皆無だったように思います。

これに気づいたのは、つい最近でしたが、自分で認めること自体、
正直すごく心の中で葛藤がありました。
もっと突っ込んだ言い方をすれば、東京の温室育ちで世間知らずの
“おぼっちゃま”だったのを絶対に自ら認めようとしなかった、
ということでした。

わかりやすく言うと、ずっーと持ち続けた小さなプライドに囚われ、
さらに意地を張り続けた末に、 他者の話さえも敵対視していたため、
とても話など聞き入れることなどできなかった、ということです。

悪いことは重なるようにできているようで、
このような目に見えない心の反応以外に、
次は私の身体にアクシデントが起きました。

倉庫で扱っている商品は、缶詰や酒類など結構な重量物が多く、
ダンボールで梱包された商品を手作業で持ち運びしておりました。


筋力にはそこそこ自信はあったのですが、慢心が引き金となったのか、
あるいは疲労の蓄積なのか不明ですが、ある時、ウイスキーか何かの
お酒の詰まった大きさも重量も相当あるダンボール箱を抱えた瞬間、
左腕のヒジに刺すような痛みと電気のようなものが走りました。

どうやら、ヒジの腱というか、筋を伸ばしてしまったようで、
激しい痛みもなかったので、自然に治るだろうと勝手に思い、
放置したままにしておきました。

結果として完治せず、30年経過した今でも、何か重い物を持ち上げた時、
痛みと違う、引っ掛かるような違和感を感じる時が時々あります。

この違和感はおかしなもので、20~30代の若い頃、その当時の
私の記憶とともにその時の不快感がよみがえりました。

ところが、50代になってからでしようか、当時の苦い記憶は薄れ、
違和感を感じると、懐かしいような、少し楽しんでいるような、
その出来事が示している、“今を生きている証”と思われるようになってきました。

この感覚を言語化するのは難しいですが、おそらく過去の経験を通して、
残されたモノは、その本人にとって何らかの意味があり、それを通して、
その時の自分に必要なメッセージを伝えているように思えるのです。

いろんな出来事があった3ヶ月間の物流センターでの研修も、
当初の頃とは全く異なる、最後の日はどしゃぶりの雨の中、
名残り惜しい気持ちとともに終了しました。
そして正式な配属が決まり、大坂支店営業1課へ異動となりました。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。
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