愛犬の生と死から学んだこと Part4

愛犬の晩年は病気との苦闘を抜きに語ることはできません。

当初は主に消化器系を患っての通院治療だったのですが、
この一年はさらに歯周病や椎間板ヘルニアなどの病気が加わり、
点滴や投薬といった対処療法で補っていく治療でした。

この治療を巡って私たち夫婦間でも価値観の違いから
意見が分かれました。

自然死を望む家内と可能な限りの治療を望む私という具合に
考えが異なっていたわけです。

具体的に言えば、延命処置をするかしないかの選択だったのですが、
動物病院の担当獣医の治療方針も含め、それを実際見極めるのは
困難だったように思います。

私が”可能な限りの治療を望んだ”、その理由は
個人的な判断に過ぎませんが、愛犬に目の輝き、
つまりまだ生命力があると信じていたからでした。

過去に何度も生命の危険を感じながらも、
何とか回復へと至ったプロセスを見てきたことで、
その目の輝きが私の記憶にしっかりと残っていたからです。

しかし、今回は日々体調が変化していく愛犬の身体に触れる度、
年齢から来る衰えなのか、それとも避けることのできない
宿命なのか原因はわかりませんが、今までとは何か違う感覚を
感じ取っていました。

ただ、悲しいことにそれを感じ取っていたところで、
目の前の現実はどうしようもありませんでした。

結局、愛犬の死の間際まで“葛藤やジレンマの連続”だったように
思います。

その渦中においてはどうしても、私たちは冷静さを失って
目の前の状況にすっかり巻き込まれてしまい、
正しい判断や行動を見失う可能性が出てきます。

実際に私自身も状況に翻弄され自分を見失いかけたことが
何度もありました。

ところが、巻き込まれ、翻弄された状況をもう一度、
“角度を変えて見直してみよう”と少しでも意識することにより、
わずかでも“以前とは違う心の感覚”を見つけることが
できました。

それが心の気づきとなり、時間の経過とともに熟成されて
いったように思います。

過去に起こった出来事そのものを変えることはできませんが、
その時点で心が反応し伴って生み出された感情や想いは、
真摯に向き合うことによって、
“反省という行為を通して修正する”ことができます。

例えば、前述の“葛藤やジレンマの連続”の状況下では、
確かに私は迷い、悩み、苦しみ、その状況を打開するヒントさえ
つかむことができませんでした。

しかし、後日になって冷静になり振り返り考えてみたら、
そうした行為そのものは、愛犬を今の病気で苦しんでいる状況から
少しでも楽にさせたいという純粋な気持ちから出できた、
“愛情の表現”であったと気づき、当時と見方が逆転することで
私自身が癒やされました。

そして、そんな肯定的な心境になれたことによって、
確かに愛犬の肉体は死を迎えてなくなりはしましたが、
生きている間、お互いの中で育んだ愛はしっかりと
私の心の中に刻まれていた”、
とわかりました。

日々少しずつ、悲しさや辛さを乗り越えながら、
“愛として受け留めていくステップ”を踏んでいる感じがします。

最後に愛犬の葬儀の時に葬儀場の待合室に掲載されていた、
ペットと飼い主の愛の想いが込められた詩を引用したいと思います。

虹の橋

天国の一歩手前に、『虹の橋』と呼ばれる場所がある。
地上にいるだれかと親しくしていた動物は、死ぬとその『虹の橋』へ行く。
そこには、草地や丘がひろがっていて、 動物たちはいっしょになって
走ったり遊んだりすることができる。
たっぷりの食べ物と水、そして日の光に恵まれ、
彼らは暖かく、快適に過ごしている。
病気にかかっていたり歳をとったりしていた動物たちは、
ここに来て健康と活力を取り戻し、
傷ついたり不具になったりした動物たちも、
もとどおりの丈夫な体を取り戻す 。
過ぎ去りし日の夢の中でのように。

動物たちは幸せに暮らしているけれど、ひとつだけ不満がある。
それぞれにとって特別なだれかが、あとに残してきただれかがいないのを
寂しく感じているのだ。

動物たちはいっしょに遊んで時を過ごしている。
しかし、ついにある日、そのうちの一匹が足を止めて遠くに目を向ける。
目はきらきらと輝き、体はたまりかねたように小刻みに震えはじめる。
突然、彼はみんなから離れて、緑の草地を跳ぶように走っていく。
あなたを見つけたのだ。
とうとう出会えたあなたたちは、抱き合って再会を喜びあう。
もはや二度と別れることはない。喜びのキスがあなたの顔に降りそそぎ、
あなたの両手は愛する友の頭と体をふたたび愛撫する。
そして、あなたは信頼にあふれたその瞳をもう一度のぞきこむ。
あなたの人生から長いあいだ姿を消していたが、
心からは一日たりとも消えたことがないその瞳を。
それから、あなたたちはいっしょに『虹の橋』 を渡るのだ。

作者不詳

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