理不尽な状況の奥に在る真実を観る・1/3

N社では、また営業職に戻り、健康食品のセールスマンとして、
採用されました。

2週間程研修を受けた後、バッティングやトラブルを避けるため、
既存の取引先の販売エリア、
顧客の状況を踏まえ、商品サンプル、リーフレット、
地図等を携えて、新規開拓へと飛び出しました。

飛び出したのは良かったのですが、
前出のK社営業時代のスタイルはルートセールス、
つまり、既存の取引先(すべて法人企業)を
割り振られて、それを担当するという形でした。

さらに、私自身、新規開拓は、
ほとんど初めての経験だったため、
正直、戸惑いや試行錯誤の連続でした。

まして、N社の営業方針は、
極端な売上至上主でしたので、
新規開拓についても、売上げを伸ばせるのであれば、
基準価格を厳守する以外”何でも有り”の体制でした。

新規開拓に悪戦苦闘しながらも、
その後、支店内の他のセールスが異動したり、退職したりして、
その取引先を引き継ぐという状況になっていきました。

ただ、既存の取引先を一見すればわかるのですが、
法人、個人、異業種が入り混じった状態でしたので、
取引先を引き継いだ時に、その管理に苦労したのを
覚えております。

この背景として、生え抜きの社員は、若手1人のみで、
あとはすべて中途入社でした。
4年間在籍しましたが、人の出入りのある会社でした。

顕著な例として、私が入社してから数ヶ月後、
50代前後の男性が計6名、中途入社されました。
当時の売上げ規模と経費のバランスから考えると、
信じられない展開でした。

そして入社して1年半くらい経過した時に、
忘れなれない出来事がありました。

月に一度、支店長以上の幹部が集まり、
全社会議の最中にそれは起きました。

ある支店長が社長の意見に反対したのが引き金となり、
多数の幹部が、その支店長に同調し、激怒された社長は、
対象者をすべて退席させました。

事はそれで収まらず、退席した幹部がすべて退職するという
事態にまで発展しました。
私の上司のM支店長も、そのメンバーの中に入っていて、
大阪支店は、その後、一時混乱しました。

しかし、A新支店長のもと、組織を再編成し、
営業の担当先を見直し、会社としての機能は
何とか維持できました。

ところが、会社の体質は以前よりエスカレートし、
“理不尽と思える状況”が目立つようになりました。

タイトルにもつけましたが、この理不尽という表現は、
当時の私の考え方、さらに言えば、前出のK社大阪支店で経験した
営業知識がベースだった背景があります。

営業や経理に関する知識がある方なら、ご存知かもしれませんが、
商品を取引先へ販売する際、現金取引でなければ、
通常、売掛金として計上されます。
この売掛金の回収、つまり集金については、締日や支払い方法など、
取引を始めた当初から、契約書などを取り交わし、決められています。

その取り決めを根底から覆す指示を会社は出してきました。
これは、あくまでも私の個人的な推測ですが、一度に多数の幹部が退職したため、
退職金などの経費が急激に増大し、資金がショートする可能性が出てきたため、
それを賄うための施策が必要になったと思います。

当然、その矛先は営業にも向けられました。
会社からの指示は具体的に言えば、一方的に取引先へ販売した売掛金の回収を、
手形であれ、現金であれ、”前倒しせよ”というものでした。

しかも、新たな売上けを確固たる戦略もなく、
さらに昨年対比120~130%で押し込め、というものでした。
今までの営業経験で、これほど強烈な指示による
プレッシャーは経験上なかったです。

毎月同じ指示でしたので、正直言って各取引先の商談は、
非常にキツかったです。
最初はとても緊張しましたが、取引先を訪問の度、毎回同じ事を伝えるので、
さげすまれ、会社の信用は失墜していきました。

この会社は、社員を大事にする風潮もありましたので、
内情がハッキリわかっていたなら、心情的な受け留め方も
少しは変わっていたように思いました。

ただ、組織が再編されても、大阪支店内の人間関係が
良好だったのは唯一の救いでした。

この当時を思い出す時、転職して安堵した気持ちになることを
心から望んでいました。
しかし、現実はそんな気持ちとは真逆の状況でした。

期待を大きくふくらませての転職でしたので、ショックというか、
それにかけた時間と労力がとても虚しく感じられました。

「一体、私は何をやっているのだろう。」

「何をしたらいいのだろう。」

迷いと葛藤の末、あまりに情けない自分を責めかけ、
虚無感、閉塞感が心の中でうごめいていたように思います。

「こんな状況から抜け出す方法は、
『何かないのか!』、
もし抜け出せるのであれば、さらに労を惜しんでも構わない」、
そんな想いが日毎に強くなっていきました。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。
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