「結果」や「答え」を先に求める怖さ PART1
今も昔もよく耳にする一流のアスリートたちが残す言葉に
「結果は後から付いてくるもの」
というのがあります。
この言葉、どうしても雲の上の存在のようなアスリートだから
という見方が先行してしまい、それが特別なことのように
思えてしまいがちです。
その一方で現実として仕事でも家庭でも何かに懸命な気持ちで
取り組んでいる時、「結果」「答え」「成果」といったものを
知らず知らずのうちに求めてしまう傾向にあることに
私たちは気づいていません。
できるだけ早く「結果」「答え」「成果」が出てくることによって
“それで良しとしたい”、
そんな願望と効率を優先する考えがあるからに思います。
さらに言えば「手早く簡単に済ませたい」という、
『クィック&イージー思想』が、
その根底にあるように思えます。
キッチンで食事の時に使っている電子レンジのように、
便利でなくてはならない必要な器機なら理解できますが、
目には見えない“心の作用”となると状況は違ってきます。
先日、家族から私も知っている知人が勤めているという老人施設の話を聞きました。
その内容は知人がその施設で“働くのが「楽」で「楽しい」”から続けたいというものでした。
しかし、話の内容を聞いているうちに矛盾を覚えながら、“ある種の違和感”を感じました。
その知人から話を直接聞いたわけではありませんので、
憶測の事柄を含めた私見を書いていきたいと思います。
老人施設というからには、身体のご不自由な状態の
お年寄りの方に対する介護サービスとなります。
介護サービスというのは、そのサービスを提供するスタッフは、
体力とともに、奉仕の精神、献身的なマインドが必要不可欠だと思っています。
言ってみれば、苦労するのが当たり前の世界で、
そのことを十分知り尽くした上で
厳しい仕事と向き合っていくものだと思っています。
もし、そのような向き合い方を理解して実践している方ならば、
“働くのが「楽」で「楽しい」”という発想は、
まず出てこないか、仮に出てきたとしても覚者のような
悟りの境地に居るような方でないと難しいように思います。
おそらく、この知人の場合は介護サービスの本質を観ようとせず、
“働くのが「楽」で「楽しい」”という目先の状態だけで
判断してしまった可能性があるように思います。
それが『クィック&イージー思想』の特徴でもありますし、
他のスタッフも同様の意識を持っていたようで、
どうやらこの組織全体が既にそんな風潮だったようなのです。
これが私が感じていた“ある種の違和感”の正体でした。
このことは家族の話を又聞きした限りの情報ではありますが、
“マインドコントロール”とも表現されうるような感じがしました。
それは、思想が集団化した『クィック&イージー思想』の
最も恐ろしい一面とも言え、組織内と外、つまり一般社会とは孤立化して、
“強烈な分離感”をつくり上げてしまった可能性も感じられました。
また、結果はどうあれ、人間の自由意志は尊重されますので、
この知人が組織に共感してそれが正しい方向と思うなら、
いずれにしても現実化されていく運びになっていくと思います。
当初、まさか身近なところでこのようなことを聞き驚きましたが、
冷静に考えてみたら、“違和感”に気づけないままエゴ・トラップに
ハマってしまったケースという見方もできるかと思います。
このようなことは、つい油断すると、
「他人事」や「対岸の火事」という視点になりがちですが、
それもまた自ら分離感をつくり出すことにもなり、
エゴ・トラップへ向かう要因となる可能性があります。
しかし、今一度、“心のフォーカス”を当て直すことで、
常に識別心を磨く重要性を再認識できたように思います。
さらに、このようなことを通して
私に注意を促して気づかせてもらったことで、この知人に対しては
「むしろ、感謝と御礼を言いたい」、
そんな気持ちとなりました。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。
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